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iPodの対極とコンピュータ連携への期待
 (2007年04月27日)
       

手軽さと適度な音質でiPodが受けているが、ピュアなハイエンドオーディオの世界から見ると貧弱な圧縮ファイルのデジタルサウンドでしかない。
 かってのCDを中心とするシステムコンポの普及と環境はよく似ているが、その対極となるべき面倒でファッショナブルでないが、超高音質を追求するピュアオーディオ勢力の台頭にも、コンピュータが不可欠な状況となってきている。

 MSB iLink
MSB iLink

最近、銀行時代の大先輩である炭谷さんの紹介で、iPodの対極とも言える機器を購入した。
 キーボードなど楽器関連メーカーであるKORGの「MR-1」という1bitデジタルレコーダーで、SACD(Super Audio CD)のフォーマットであるDSD(Direct Stream Digital)で録音再生できるポータブル機器である。
 これまでのCDは、PCMフォーマットで16bit 44.1KHzのサンプリングであるのに対して、DSDでは1bit 2.822MHzとなり、不連続のドットの密度が高くなって原音に近い音を追求する。
 20GBのハードディスクを搭載しているが、目的は高音質なので、1GBあたり22分の記録で7時間分ほどの容量となる。
 iPodなどのデジタル再生機器は、これまでのCDフォーマットである16bit 44.1KHzのWAVファイルも扱えるが、ほとんどがMP3などに圧縮していることから、音のクオリティはCDより劣化することになる。
 デジタルで録音するには、もともとアナログなソースの入力が必要になり、LPレコードの愛聴盤をいくつか入れてみた。この音をJBLのイヤースピーカーで聞くと、まったくリアルでiPodの音が聞けなくなる。
 ただ、問題はハイエンドオーディオと繋げた時で、この内蔵DAC(digital-to-analog converter)ではやはり不十分である。
 できれば、デジタル出力してDAC単体機器に繋いで鳴らしたい。

 Korg MR-1
Korg MR-1

ビジネスのコンピュータ分野では、米国一色になっている現状だが、PCに音楽を取込めることで、これらのデジタルなピュアオーディオの世界との融合が進み始めており、オープンソースを始めとするソフトウェアとの融合での追求が期待できる。iPodを含めてこのようなオープンソース・ソフトウェアは多数存在している。

米国のハイエンドオーディオメーカーにおいては、iPodの取込みやUSB端子などの採用が広がっている。
 最近、元HPでLinuxもやったいた飯田さんから、米国のMSBというメーカーのiPod用デジタル出力ドックを試聴する機会を得た。標準のiPodではイヤースピーカー出力(アナログ)しかないため、iPodを改造してデジタル信号を内部のDACに通さず、外部のDAC接続用端子に直接繋ぐ方法をとっている。
 小規模のオーディオシステムではiPod内蔵のDACでかなり満足できるが、大規模なオーディオになると不満は大きくなる。PCからのデジタル出力でも同様でなにかボヤッとした音になる。
 このiPod用デジタル出力機器は、このあたりを解決している。CDと同様の16bit 44.1MHzのPCMフォーマットだが、CDに比してメディアの回転がない分有利であるのと、本格的ハイエンドDACの成果が大きいのだろう。

ポータブルでは内部DACを利用して手軽に良い音が楽しめ、自宅ではさらにデジタル出力から高品質のDACと組合せることによって、ハイエンドオーディオで楽しむことができる。これらのポータブル音楽プレーヤーのライン出力やイヤースピーカー出力では、十分な音質は得られないので、デジタル出力は必須となる。

このような状況から、我々オープンソース業界においても、実際の商品化も検討したくなる。
 ターボリナックスが発売しているWizpyにも、このようなピュアオーディオ的ポータブル音楽プレーヤーの方向を追求したら、iPodとの差別化もでき、高価であっても特定ユーザーの間では大いに盛り上がるものになるだろう。原形があるだけに、拡張し易いのではないかと思う。
 非圧縮フォーマットの採用、デジタル出力の用意などが、追加機能となる。場合によっては、高品質DACや高級イヤースピーカーなどもオプションにできれば面白い。

millon